2010 Fiscal Year Annual Research Report
線形及び非線形シュレーディンガー方程式に対する散乱理論の研究
Project/Area Number |
20540169
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
足立 匡義 神戸大学, 理学研究科, 教授 (30281158)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高岡 秀夫 北海道大学, 理学研究科, 教授 (10322794)
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Keywords | 多体問題 / スペクトル理論 / 散乱理論 / 波動作用素 / 漸近完全性 / 電磁場 / 逆問題 / 適切性 |
Research Abstract |
『時間的に変動する一様電場内での量子散乱』 研究代表者である足立は、その学生である石田敦英氏と共同で、零でない定電場に時間的に漸近する電場内での量子2体長距離散乱問題を考え、修正波動作用素の存在と漸近完全性に関する研究を行った。これまでは短距離型ポテンシャルに対する研究のみなされていた。加速度系によって、定電場内での時間依存ポテンシャルによる散乱問題に帰着させたとき、時間発展に沿ってのエネルギーの有界性が一般に得られる条件は、定電場への漸近オーダーがが(m>2)であることを明確にして解析を進めたことも既存の結果の改良に繋がった。また足立は、その学生である鎌田達也氏・数野真行氏・虎谷啓佑氏と共同で、電場が零に時間的に漸近しているとき、その漸近オーダーがが(0<n<1)であるという条件下で、散乱作用素からポテンシャルの短距離型部分が一意的に定まるという一意性の問題の研究を行った。このような電場内では、電場のないときには長距離型としか考えられないポテンシャル(例えばクーロンポテンシャル)も短距離型と見做せるので、散乱作用素から定まるポテンシャルのクラスは、電場が零であるときよりも広がっている。これまでの研究では、零でない定電場、時間周期的でその時間平均が零でない電場、零でない定電場に時間的に漸近する電場などが扱われていた。我々の研究での重要な要請は、区間[0,t]における電場の積分がある方向にt^<1-n>のオーダーで増大するということで、この観点から見直すと、これまでの研究ではn=0の場合を扱っていたことになる。以上の結果について、それぞれ学術論文として発表するべく、既に投稿を済ませ、現在査読結果を待っているところである。
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Research Products
(2 results)