2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540171
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
廣川 真男 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 教授 (70282788)
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Keywords | シュレディンガー作用素 / スペクトル解析 / 共振器量子電磁気学 / energy level crossing / 非可換調和振動子 / 特異点 / 場の量子論 / cavity |
Research Abstract |
今年度は,行列係数を持つシュレディンガー作用素のスペクトルに現れる特異性を調べた。ここで扱った数学的モデルは,ある形状を持つcavityの中に閉じ込められたある1モードのレーザー光と2準位原子の相互作用を記述する。より詳しくは,オーストリアの物理学者によって提唱されたcavity-induced atom coolingというcavity QED(共振器量子電磁気学)におけるcavityをコントロールすることによって得られる,従来とは違った原子のレーザー冷却を記述するモデルである。 本年度得られた結果によると,「結合定数に2種類の特異性があり,一つは,その特異性を境にエネルギー・スペクトルの中にエネルギー交差が出現したりしなかったりするもの。また,もう一つは,その特異性を境にエネルギー・スペクトルが調和的になったり非調和的になったりするものである。」ということが分かった。 上述の結果を得るために,場の量子論の数学的手法が使われたが,行列係数を持つシュレディンガー作用素のスペクトル解析の数学はさほど発展してはいなく,今後の解析が必要となるが,その先にはエネルギー交差や調和・非調和性という面白い数学的性質があることが本結果によりしめされた。さらに,これらの結果は物理への応用も期待される。数学としての結果は数学の学術雑誌Indiana University Mathematics Journalに投稿され,物理としての結果は物理の学術雑誌Physical Review Aに投稿された.
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Research Products
(2 results)