2010 Fiscal Year Annual Research Report
ランダム磁場シュレーディンガー作用素のスペクトルの研究
Project/Area Number |
20540177
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
野村 祐司 愛媛大学, 理工学研究科, 准教授 (40282818)
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Keywords | シュレーディンガー作用素 / スペクトル / Aharonov-Bohm磁場 / 上半平面 / 第一種Fuchs群 / ランダウレベル / 保型形式 |
Research Abstract |
ある第一種Fuchs群の作用に関して不変な,上半平面上の離散集合G上のAharonov-Bohm磁場および一様磁場を持つシュレーディンガー作用素のスペクトルの構造を調べた。例えば、ユークリッド平面上の周期ポテンシャルを持つシュレーディンガー作用素のように、平行移動のようなアーベル群が作用する作用素については、Bloch解析(Floquet理論)により、スペクトルのバンド構造やその絶対連続性、スペクトルとBloch解との関係など精密なことが結論される。しかし今の状況においては、作用する群は一般には非可換であるので、Bloch解析が適用できない。これによりスペクトルの解析がより困難になる。よって個別にでも、非可換群の作用で不変な作用素のスペクトルを解析することは非常に重要である。我々の研究においては、ランダウレベルと呼ばれる多重度無限大の固有値の存在の必要十分条件や固有空間の解構造を調べ、単位面積当たりの磁束の平均量によってランダウレベルの存在条件が表されることを示した。また、その条件において、曲率の寄与の現れ方を示すことができた。ところで、存在条件を求める我々の証明の中では、作用に関して不変な離散集合Gに零点を持つ保型形式と、ある条件を満たすカスプ形式の存在が必要であった。そのために、どのような第一種Fuchs群に関して、条件を満たす保型形式が存在するかを判定する必要がある。その研究の中で、上半平面を第一種Fuchs群で割ってコンパクト化したリーマン面の幾何的な条件が重要な役割を果たすことが分かってきた。特に、種数により大きく状況が異なるようである。現在小さい種数のリーマン面の場合の研究を進めているところである。
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Research Products
(5 results)