2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540181
|
Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
北 直泰 宮崎大学, 教育文化学部, 准教授 (70336056)
|
Keywords | 非線形シュレディンガー方程式 / 解の非適切性 |
Research Abstract |
非線形シュレディンガー方程式の初期値問題で,初期データに特異性の強い超関数を与えて解の構成を試みた.空間1次元で非線形項の次数が3であり,しかも非線形項にゲージ不変性と呼ばれる性質がある場合には,Kenig-Ponce-VegaおよびChrist-Colliander-Taoらによって,負の指数を持つソボレフ空間において解の適切性が崩れることがすでに示されている.その一方で,本研究では非線形項の次数を3より小さくすれば超関数の枠組み(特に台の異なるδ関数の線形結合で表現される枠組み)で解の構成が可能であることを示唆している.加えて,本研究ではより一般にn次元空間における時間大域解の構成も試みている.実際,初期データが超関数であったとしてもδ関数のように特殊な性質を有するものであれば,線形シュレディンガー方程式の解作用素が有する分散効果を利用することで,非線形評価を推し進めることが可能になる.本研究で見出された知見を端的に記述すれば,まさにこの一文に尽きるとも言えよう.このアイデアによって,具体的な素性がよく見えるような解が構成できたことが特筆すべきところである.詳細に述べると,初期データが2つ以上のδ関数の重ね合わせで表現されているときには,非線形効果によって時刻の経過とともに新しいモードが瞬時に生み出されていくことが解明できた.このようなモードの生成は線形のシュレディンガー方程式では見られない性質である.今後の課題として,正則性の弱い関数空間における解の非適切性に関する性質にまで研究領域を広げていく.
|
Research Products
(1 results)