2009 Fiscal Year Annual Research Report
コンピュータを活用した作用素不等式の開発・発展とその応用
Project/Area Number |
20540189
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
古田 孝之 Tokyo University of Science, 理学部, 教授 (40007612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柳田 昌宏 東京理科大学, 理学部, 講師 (50318200)
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Keywords | 作用素不等式 / log-majorization / Lowner-Heinzの不等式 / 古田不等式 / 一般化古田不等式 |
Research Abstract |
a,bが正実数ならば「a〓b〓0⇒a^p〓b^p for p>0」という順序を保存する「不等式」が成立することは明らかであるが、A,BがHilbert space上の有界線形作用素の時は「A〓B〓0⇒A^p〓B^p for 1>p>0」という順序を保存する「作用素不等式」だけが成立し「A〓B〓0⇒A^p〓B^p for p>1」は一般的には成立しない。この「p>1」という条件が強すぎる制約であるために、応用上では大変不便であった。この応用上での不便さを解消するような作用素不等式の研究を行い、ある程度の成果を得てきた。そこで昨年度は、Hilbert space上の有界線形作用素の順序を保存する作用素不等式の更なる発展を研究し、その成果を論文にまとめた。今年度は、それらの結果をその系として含むような「作用素不等式に関する作用素関数」を得ることができた。この成果の応用として、従来得られていた「log-majorization」の結果は大きく拡張されて、他の研究分野へもその応用が期待されるようになったことは大きな成果であった。更に、有界線形作用素の順序を保存する「作用素不等式」はその名のごとく「作用素」に関する「不等式」なのだが、ある種の「作用素方程式」の「正定値な解の存在の証明」に応用できることを証明できた。従来は「作用素方程式」の研究はやはり「作用素方程式」それ自身に関連する等式の変形などによって進められた傾向が強かったが、「不等式」が「方程式」の解に深く関連することが証明できた。
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