2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540190
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Research Institution | Tokyo University of Science |
Principal Investigator |
岡沢 登 東京理科大学, 理学部・第一部, 教授 (80120179)
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Keywords | 非線形Schrodinger方程式 / 逆二乗ポテンシャル / Katoの方法 / エネルギー法 / 複素Ginzburg-Landau方程式 / コンパクト性の方法 / 楕円型作用素 / 半群の解析性 |
Research Abstract |
23年度中に完成し投稿した論文は4編であるが、そのうちのひとつは22年度中にほぼ出来上がっていたもので掲載が決った。他に23年度始めに再投稿し、23年末に刊行にこぎつけたものがひとつある。 1)非線形Schrodinger方程式 逆二乗ポテンシャルを持つ非線形Schrodinger方程式の適切性についての第一報(25ページ)はApplicable Analysisで掲載待ちになっている。掲載ページは未定であるが、DOIは与えられている(DOI:10.1080/00036811.2011.631914)。この論文では、いわゆるKatoの方法を採用したが、線形部分の作用素-\Delta+a|x|^{-2}の係数aに対する制限には不満があった。しかし議論の抽象化で10カ月後には、この制限を取り除くことができた。この議論の抽象化はCazenaveの講義録(2003)のものを改良している。改良したという根拠となる具体例の計算も論文に盛り込み、投稿中である(25ページ)。 2)複素Ginzburg-Landau(CGL)方程式 (CGL)方程式のCauchy問題を、コンパクト性の方法で扱った論文の最終稿が出来上がった(15ページ)。Clement教授(Delft工大)の了解取得後、投稿した。 3)2階楕円型作用素の生成する半群の解析性 この種の半群の解析性は、正の実軸の近傍から右半平面のある角領域まで広がるのだが一気に証明できるわけではなく、二段階で進む必要がある。これは欧州を中心に研究人口の多い分野であり、専門誌に論文を発表するのはなかなか難しい。推敲を重ねた上で、Metafune教授(Salento大学)の了解も取り、投稿にこぎつけた(24ページ)。 4)23年末に刊行された論文はSchrodinger作用素のholomorphic family:-\Delta+{\kappa}V(x)に関するものであり、15年前のBorisov-Okazawa(1997)と相補うものである(32ページ)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
交付申請書に記載した「研究の目的」1)-3)は、上記9.研究実績の概要1)-3)と大体対応しているので、研究の「四分の三」はおおむね順調に進展していると考えている。それに対して「研究の目的」4)では、共同研究者の吉井健太郎助教が第一稿を作ってくれているが、細部の点検と英文の推敲が残されているので「四分の一」はやや遅れているといわざるを得ない。全体として区分(2)を選んだ。
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Strategy for Future Research Activity |
交付申請書に記載した「研究の目的」3)に関連して実施計画の中で触れておいたが実現できなかったことに、Metafune教授訪問がある。それが24年7月には実現しそうなので、課題の新展開に結び付けたい。特に、故加藤敏夫教授の1981年の論文における未解決問題についての討議に期待している。 「研究の目的」4)で現在取り組んでいるのは、線形の問題であるが、いい線形理論ができれば、準線形発展方程式の時間局所可解性に応用できることは分かっており、条件の簡素化による適用範囲の拡大が目標となる。
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