2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540201
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山田 澄生 東北大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (90396416)
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Keywords | リーマン面 / ヴェイユ・ピーターソン計量 / ヒルベルト計量 / 凸体 / アインシュタイン方程式 / リーマン単体的複体 / 大域的および局所的一意化定理 / 漸近的普遍量 |
Research Abstract |
1.リーマン面の共形構造全体から成るタイヒミュラー空間の幾何学構造の解明を昨年度に引き続き試みた。タイヒミュラー空間上のヴェイユ・ピーターソン計量に関して計量的完備化されたタイヒミュラー空間を複数張り合わせて得られるCoxeter複体の構成に本質的である凸体の幾何学/解析学を用いて、ユークリッド空間内の凸体上に定義されるヒルベルト計量の一般化がタイヒミュラー空間において可能であることを示した。この結果は現在論文として執筆中である。この展開はヴェイユ・ピーターソン幾何学とサーストン理論を結びつける新しい視点として意義がある。 2.アインシュタイン方程式に付随する漸近的普遍量に関する研究を、アインシュタイン方程式を3次元多様体の時間発展として解釈する手法により解析した。特によく知られたBrill-Lindquist初期データと呼ばれるリーマン計量が、80年代にG.Gibbonsによって提唱されたペンローズ不等式の反例になっていることS.DainとG.Weinsteinとの共著の論文において示した。この結果は、大域的に定義されるADM質量と、擬局所的に定義される事象の地平線の幾何学的構造との対応を理解する上で、有用である。 3.昨年度得られた面積極小2次元部分集合の局所一意化に関する結果を使い、リーマン単体的複体上における一般化された等温座標を用いて、1変数複素関数論の拡張に取り組んだ。局所ユークリッド性を欠く単体的複体における幾何解析の道具立ては多様体上での状況と比べて整備が遅れており、本年度はその基礎からの構成を試みた。
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