2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540202
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
木下 保 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 准教授 (90301077)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
梶谷 邦彦 筑波大学, 名誉教授 (00026262)
石渡 聡 筑波大学, 大学院・数理物質科学研究科, 助教 (70375393)
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Keywords | 関数方程式論 / 双曲型システム / ライフスパン |
Research Abstract |
双曲型システムに対して、非線形問題へ応用を目指して、まずは線形問題だけに重点をおいて研究を行ってきた。特に、2階の単独の双曲型方程式に対して、係数の挙動に応じて以下の(i)、(ii)のような研究成果が得ることができた。 (i)G.Taglialatela氏と、係数がGevrey級の滑らかさをもっような双曲型方程式の初期値問題の適切性を示すことに成功した。これは、係数が実解析的な滑らかさをもつ場合の有名なコーシー・コワレフスキー定理の一般化である。そして今後、この結果をシステムの場合に拡張することも多いに意義のある研究であると思われる。 (ii)K.Yagdjian氏,A.Galstian氏らと、係数が発散するような狭義双曲型方程式の解の具体的な表示式を得るのに成功した。これは物理学における宇宙論の解明に多いに役立つことが期待できる結果である。また、ここで得られた解の表示式から、直接的に減衰評価式等も導出できるため非線形問題への応用にも役立つと考えている。 なお、M.Reissig氏と、係数が激しく振動するような2×2サイズの狭義双曲型システムの初期値問題の適切性を示すことにも成功した。十分満足のいく最良の結果ではあるが、2×2サイズのシステムの構造特有の性質から導かれているため、一般のサイズのシステムを扱うとき、同等の結果を得ることはかなり難しいように思われる。これにより、今後はシステムのサイズの一般化を試みる際、係数の挙動として振動が引き起こす要因をできるだけ排除する方針で、研究を進めていきたいと考えている。
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