2009 Fiscal Year Annual Research Report
マクドナルド多項式と多変数超幾何級数の研究と格子模型への応用
Project/Area Number |
20540203
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
白石 潤一 The University of Tokyo, 大学院・数理科学研究科, 准教授 (20272536)
|
Keywords | マクドナルド多項式 / 超幾何級数 / 変形W代数 / 可解格子模型 / 楕円量子群 |
Research Abstract |
2009年度の主要な研究実績は、二つの論文に発表された。 (1)Macdonaldの導入した互いに可換な差分作用素の構造を調べるために、ある種の量子群の構造を研究した。Feigin-Odesskii代数の特殊場ケースとして、退化CP^1の上に定められるある単位的結合代数Aを導入した。この代数Aは可換代数であり,そのPoincare級数が整数の分割数で与えられることを証明した。諸定理の証明のために、適当なfiltrationを導入し、様々な組合わせ的技術を用いる必要がある。また、Aは対称関数環に作用するマクドナルド差分作用素の族と自然に同一視されることを示した.そこでは、マクドナルド差分作用素の自由場表示と、Feigin-Odesskii代数Aの基礎定理をうまく総合して用いられる。さらに、Ding-Ioharaの代数と呼ばれるHopf代数のある具体的な表現論において、この白由場表示に現れる演算子が全て系統的に得られることを示した。なお、Ding-Ioharaの代数の表現論の枠内には変形W代数が自然に現れる。 (2)離散的なラプラシアンを持つ周期的なIntermediate Long Wave (ILW) Equationの(古典力学的な)可積分構造を研究した。通常の佐藤理論としてのILW方程式の取り扱い、タウ関数と広田方程式、いくつかの特殊解などについて調べた。この可積分階層は、上述のDing-Ioharaの代数のレベル1表現のある可換代数への退化極限の定めるPoisson構造によっても記述できると予想される。
|