2011 Fiscal Year Annual Research Report
マクドナルド多項式と多変数超幾何級数の研究と格子模型への応用
Project/Area Number |
20540203
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
白石 潤一 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 准教授 (20272536)
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Keywords | マクドナルド多項式 / 超幾何級数 / Ding-Iohara代数 / topological vertex / Nekrasov分配関数 |
Research Abstract |
本研究の主な目標は、マクドナルド多項式やその拡張に対して存在するある種の多変数超幾何級数的な明示的公式を研究することであった。その研究方針のひとつとして、Ding-lohara代数と呼ばれる量子群の表現論を展開した。さまざまなテンソル積表現を構成し、代数の生成元及びintertwining operatorたちの行列要素を具体的に計算すると、非常に多くの場合にマクドナルド多項式に由来するような多変数超幾何級数が出現することを観察した。言い換えれば、マクドナルド多項式(の明示的公式)に関するデータは、Dingi-Iohara代数の定義(生成元に関する定義関係式、余積の構造等)に要約することができる。 現在まだDing-Iohara代数の言葉に還元できていない場合について述べる。B,C,D型の変形W代数の表現論を通じてB,C,D型のマクドナルド多項式のタブロー的な明示公式(の例)を得ることができた。この結果の公表は今準備中である。可能であれば、Ding-Iohara代数との関係もそれと同時に明らかにしたい。(なお、この種の公式とOkounkovの補間多項式との関係はまだ調べられていない。) Alday-Gaiotto-Tachikawaの予想と関連して、Dingi-Iohara代数の表現論はかなり進展したと言える。Dingi-Iohara代数の持つSL(2,Z)の対称性は、表現論を非常に豊かなものにする。テンソル積表現を構成する際に、各テンソル成分に個別のSL(2,Z)を作用させて、そのような空間に対するintertwining operatorを調べることが重要となる。そのintertwining operatorの行列要素は、Iqbal-Kozcaz-Vafaのrefined topological vertexと呼ばれる量と全く一致する。即ち、intertwining operatorの積の真空期待値がNekrasov分配関数と一致するということが示されたこととなり、Alday-Gaiotto-Tachikawaの予想(のK理論版)に解決を与えるものと考えられる。 Nekrasov分配関数は、ある種の多変数超幾何級数的を包括するような多重級数とみなすことができる。この方面の研究について、興味深い結果が得られているが、それについては現在準備中である。
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