2009 Fiscal Year Annual Research Report
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20540212
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
坂元 国望 Hiroshima University, 大学院・理学研究科, 教授 (40243547)
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Keywords | 反応拡散系 / パターンダイナミクス / 領域境界の曲率 / 曲率の非一様性 / 空間周期解 / 安定性・軌道安定性 |
Research Abstract |
曲がった領域(境界の曲率が非一様な領域)において,反応拡散方程式の定常解の存在やパターン(安定定常解)が存在するための十分条件を,領域境界の畿何学的な情報を用いて与えた.定常解を特徴付ける界面と領域境界の交差部分における横断的な法曲率の非一様性が定常解や定常パターン(安定な定常解)の存在の鍵であることを明らかにした.最も単純な状況では,この交差部分に領域境界上で直交する方向の法曲率が交差部分に於いてその近傍における臨界値となっていることと,交差部分における法曲率とこの領域におけるDirichlet-Neumann写像の固有値の大小関係によって定常解の存在および安定性が決定されるのである.反応拡散系自体は時空間一様的であっても、領域境界の曲率の非一様性が起因となって複雑なダイナミクスが生み出されることの証拠を与える結果となった.特に,法曲率が正(領域内部からみて境界が外に凸である)場合には,領域境界を変形していくとき一つの定常解から任意有限回の分岐現象が現れることを示したが,そこで用いられた視点と手法は数理科学に現れる他のタイプの偏微分方程式系に対しても有効でをあり,実際,非線形分散型方程式の空間周期的進行波解の存在とその軌道安定性を回転数・波の速度に関する関係式として与えた.この後者の場合,方程式系そのものは時空間一様的であるが,非線形性の関与に依って非一様な分散媒質と同様な場が自立的に生成されることを示していて,「非一様場」の概念は見かけだけから判断されるでは無く,系の内在的な挙動・構造を分析して初めて判断されるべきとの視点を示唆することが興味深いと思われる.さらに,線形拡散方程式(非線形反応項なし)と言う状況においても、境界における非線形フラックスと境界の畿何的な非一様性が共同して,パターンの生成を可能にし,興味深いダイナミクスを生み出す可能性を示唆する結果が得られた.
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Research Products
(4 results)