2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540212
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
坂元 国望 広島大学, 大学院・理学研究科, 教授 (40243547)
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Keywords | 反応拡散系 / パターンダイナミク / 非正常分岐現象 / 周期解 / Turing不安定性 / 波動分岐 |
Research Abstract |
プラズマの電磁流体モデルから逓減摂動法によって得られる微分非線形シュレディンガー方程式と呼ばれる非線形分散型偏微分方程式の空間周期進行波解を,キャリアーウェーブの振動数が0ではない場合に解の回転数と進行速度がある一定の関係にあるという条件下で構成しその軌道安定性を決定した.自明解から半自明解が分岐する際,キャリアーウェーブの振動数がある範囲にあるとき,全ての負の回転数において異常分岐と思われる現象を見いだした.通常,不安定な自明解から超臨界的に安定な非自明解が分岐する場合,自明解は超臨界領域においても不安定でなければならないが,今回見いだした非正常分岐と呼ばれる現象においては超臨界領域で自明解は安定になっており,不安定な解から二つの安定解が超臨界方向に枝分かれするのである.非線形散逸系にたいしてはこのような非正常分岐は決して起こり得ないが,微分非線形シュレディンガー方程式系では,どのような波数の波がどの方向に伝播するかに依って媒質の振動数が柔軟に変化してあたかも非一様な媒質のように振る舞い,これとキャリアーウェーブの振動数が何らかの共鳴現象を起こすために,このような非正常分岐が起こると考えられるが,その詳細なメカニズムは現時点では不明であり,今後の重要な研究課題である. 3変数反応拡散系におけるTuring不安定性の数学的なメカニズムの本質的因子を同定することに成功した.即ち,安定な3変数系において不安定な1変数または2変数部分系が存在すれば,不安定系の拡散係数がその相補的な部分系の拡散係数より十分に小さいときにTuring不安定性が必ず起こることを示した.また,3変数系においては,空間非一様な分岐解(通常のTuring分岐解)以外に時空間非一様な分岐解(Turing-Hopf分岐解、波動分岐)が出現することを示し,そのための十分条件を2変数部分系の不安定性に関する条件として体系的に与えた.
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