2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540213
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
植田 好道 九州大学, 大学院・数理学研究院, 准教授 (00314724)
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Keywords | フォンノイマン環 / 自由積 / 融合積 / 自由エントロピー / 非可換ハーディー空間 / 測度付離散擬群 |
Research Abstract |
本研究課題の最終年度である今年度はこれまでの研究成果発表を内外問わずに積極的に行った.特に,今年度の前半はウィーンのシュレディンガー研究所で行われていた自由確率論のプログラムに参加しワークショップで昨年度に成果が挙がったフォンノイマン環の自由積に対する一般的成果を国外において初めて発表し好評を得た.さらにパリのポアンカレ研究所で行われたフォンノイマン環とエルゴード理論の研究プログラムにも参加しやはりワークショップで研究発表を行った.特にポアンカレ研究所の研究プログラムでの数々の講義などに刺激を受け,近年大変発展していたII_1型因子環の解析手法を考察し始めた.実際には以前にこの方向の考察を行ったことがあり,その時の知見を使って昨年度に行った研究をさらに深化発展させることに取り組み始めた. 他方で,ウィーン滞在で刺激を受け自由エントロピーの問題を考察し始めており,さらに非可換ハーディー空間の特徴付け問題も考察しておりどれもなかなか期待の成果が挙がらない日々が続いた.また,以前に研究した測度付離散擬群に対する不変量「コスト」の問題も考察し,ある種の結果を得たがそれを発展させるところで思わぬ障害にぶつかり研究が滞った. 初秋になり,残りの期間で成果が挙がりそうなものは何か?を考え,パリで考察を深化させ始めた昨年度の成果をより一般の融合積に拡張することを選び,12月の頃にはある程度の成果(昨年度自由積に対して因子性,型の決定,完全性について完全に解決したことの「約半分」)を実行した.これは言うは容易いが,融合積はずいぶんと一般的な対象なのでかなりの進歩である.投稿はまだであるが年明けすぐに論文を執筆し3月にarXivに公表した.
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