Research Abstract |
Elliott分類問題において中心的役割を果たしているJiang-Su環Zの安定性について,綿谷指数有限なペアP⊂Aに関して研究をおこなった.C*-環AがZ安定とは,A[○!×]Z〓Zのことをいう.最近Elliott不変量が同じ単純C*-環A,Bで同型でない例が,Toms氏,Rordam氏それぞれによって発見された.このA,Bは,Z安定ではない.また、今までElliott分類クラスに入る単純C*-環はZ安定であることが証明されている.これらを踏まえ,現在は、Z安定な単純C*-環のクラスにおいてElliott不変量E11()が完全不変量であることが予想されている.すなわち,E11(A)〓E11(B)⇔A〓B.このZ安定の遺伝性について次のことを調べた:与えられたペアP⊂Aが大坂-照屋の意味でロホリン性を持てば,AがZ安定であるとき,PがZ安定である.ここでロホリン性はある意味重要な過程であり,実際、ロホリン性の条件をゆるめれば,遺伝性が成立しなくなる例が,Phillips氏により構成されている.それ故,本結果は,Elliott分類問題において重要な結果を与えることになる.この研究は、論文にまとめられ、現在数学雑誌に投稿中である. 他に,行列単調関数,行列凸関数によるC*-環の構造決定問題を富山氏,Sergei氏との共同研究でおこない,論文として発表した.また,Jensen型不等式に関する行列単調関数,行列凸関数のランクについて、1つの特徴付けを富山氏との共同研究で導き、論文として発表した.
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