2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540223
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
石渡 正樹 Hokkaido University, 大学院・理学研究院, 准教授 (90271692)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉本 圭 北海道大学, 大学院・理学研究院, 教授 (50311519)
小高 正嗣 北海道大学, 大学院・理学研究院, 助教 (60344462)
中島 健介 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教 (10192668)
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Keywords | 惑星大気 / 暴走温室状態 / 全球凍結状態 / 気候多様性 / 大気大循環モデル |
Research Abstract |
同期回転惑星の気候状態を求めるための数値計算を行った. 同期回転惑星とは半球が常に中心星からの入射放射を受け, 反対半球には放射が入射しない惑星であり, 中心星の近傍に存在する系外惑星の多くが同期回転していると予想されている. 使用したモデルは静水圧を仮定した3次元球殻モデル, 地球流体電脳倶楽部dcpam5である. 大気は, 水蒸気を想定した仮想的な凝結性成分と乾燥空気を想定した非凝結性成分から成る. 水蒸気だけが長波放射を吸収, 射出し, その吸収係数は波長によらない定数であるとする. 乾燥空気は放射に対して透明であるとする. 地表面の比熱は0と仮定する. 太陽定数, 重力加速度, 惑星半径などは地球の値を用いる. 自転角速度の値として, Ω=1, 2/3, 1/2, 1/4の4通りを用いた(Ωは地球の値で規格化した自転角速度). Ω=1の場合, 赤道域において昼半球から夜半球へ東方に伸びる地表面温度の高温域が形成される. これは赤道ケルビン波の伝搬に対応したものだと考えられる. 昼半球西側の亜熱帯域にはロスビー波の伝搬に対応した高温領域が形成される. 中高緯度域においては, 昼半球・夜半球間の熱輸送には傾圧不安定擾乱に伴う水蒸気輸送が大きな役割を果たしていると考えられる. 降水による凝結加熱が夜半球の中緯度大気にとって主要な加熱源となっている. Ω<1の場合, Ωの減少に伴い赤道域の高温領域の緯度幅は増加する. この傾向はΩの減少にともなう赤道ケルビン波の緯度幅の変化と調和的である. 中高緯度においては, Ωが減少するに従い凝結加熱が減少する. これは傾圧不安定擾乱が弱くなるためである. Ω=1/4の場合には, 昼半球から夜半球側へ極を通過する循環が生じる. Ωが小さい場合の同期回転惑星では, 極域を通る直接循環が卓越する傾向にあると考えられる.
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