2008 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙の第一世代星の初期質量関数を金属欠乏星の特異な元素組成から探る
Project/Area Number |
20540226
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野本 憲一 The University of Tokyo, 数物連携宇宙研究機構, 特任教授 (90110676)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 知治 東京大学, 理学部, 助教 (20280935)
|
Keywords | 超新星 / 宇宙化学進化 / 元素合成 / 宇宙初代星 / 大質量星 / 恒星の進化 / 金属欠乏星 / 質量関数 |
Research Abstract |
本研究の目的は、宇宙の進化における第一世代の星、すなわち、重元素を含まない種族IIIの星がどのような質量関数を持っていたかという問題を、銀河のハロー星や銀河間ガス、銀河団ガスなどの宇宙の進化の初期に形成された天体の化学組成を説明する試みによって、精度よく推定することである 本年度は、第一世代の星が質量降着によって太陽程度の質量から質量を増やしながら進化していく過程を、重力崩壊の段階まで計算した。3次元宇宙論的シミュレーションから推定される質量降着率を適用すると、(1)種族III.1星はほぼ太陽質量の1000倍まで成長し、中間質量ブラックホールを形成することがわかった。これは、巨大質量ブラックホールの種として興味深い結果である。 (2)質量降着が他の種族III星のfeedbackによって阻害される種族III2星の場合は、太陽質量の50-100倍程度の質量となり、通常の重力崩壊に至ることがわかった。このような星は、金属欠乏星に観測されるような、元素合成を行なう。 (3)この結果、太陽質量の140-300倍の質量の星が起こす、電子対生成に起因する超新星は起きないことになり、金属欠乏星の化学組成との矛盾は回避できることがわかった。 こうして、巨大・中質量ブラックホール形成の理論モデルと、第一世代に近い天体の元素組成などの観測事実を、統一的に説明する第一世代の星の理論モデルの構築の第一歩と言える。
|
Research Products
(4 results)