2009 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙の第一世代星の初期質量関数を金属欠乏星の特異な元素組成から探る
Project/Area Number |
20540226
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野本 憲一 東京大学, 数物連携宇宙研究機構, 特任教授 (90110676)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 知治 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教 (20280935)
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Keywords | 超新星 / 宇宙化学進化 / 元素合成 / 宇宙初代星 / 大質量星 / 恒星の進化 / 金属欠乏星 / 質量関数 |
Research Abstract |
本研究の目的は、宇宙の進化における第一世代の星、すなわち、重元素を含まない種族IIIの星がどのような質量関数を持っていたかという問題を、銀河のハロー星や銀河間ガス、銀河団ガスなどの宇宙の進化の初期に形成された天体の化学組成を説明する試みによって、精度よく推定することである。 本年度は、ある質量範囲の大質量星(140-300Msun)が起こす、電子対生成不安定に起因する核爆発型の超新星(Pair-Instability Supernova:PISN)の研究を重点的に遂行した。これは、種族III星が大質量星となり、このPISNを起こして、宇宙初期のchemical enrichmentに大きな寄与をしているかどうかを明らかにする目的である。本研究では、まず、このPISNが大量の56Ni,56Feを放出して極めて明るい超新星になりうることを示した。最近、極端に明るい超新星(Luminous Supernova:LSN)の一群が発見されるようになり、PISNであるという主張がなされている。しかしながら、PISNの放出する元素の組成は、metal-poor starの化学組成とは合わない。 本年度の研究により、100Msun程度の大質量星が重力崩壊し、極超新星という巨大エネルギーの爆発をした場合、十分な量の56Niを放出し、LSNの光度曲線や爆発のdynamicalな特徴をよく説明できることを示した。LSNは、PISNというより、ガンマ線バーストに関連した極超新星であることを示唆する。初期の光度曲線が観測できると、この両者を区別できる可能性があるので、今後、初期の光度曲線の詳細の研究を進める必要がある。
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