2008 Fiscal Year Annual Research Report
原始星アウトフローにより生成される超音速乱流とその星団形成への効果に関する研究
Project/Area Number |
20540228
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
中村 文隆 Niigata University, 人文社会・教育科学系, 准教授 (20291354)
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Keywords | 星形成 / 数値シミュレーション / 星間磁場 / 自己重力 |
Research Abstract |
本研究の目的は、原始星アウトフローの効果に着目して星団形成の数値シミュレーションを行い、星団形成の理論モデルを構築することである。観測によると、星団はpcスケールの高密度ガス塊から誕生する。そのような高密度ガス塊は超音速乱流状態にあり、また強い磁場も付随している。星団形成領域では星が密集して生まれるため、孤立した小質量星の形成過程とは異なり、若い星からの原始星アウトフローが次世代の星形成に多大なる影響を与える。そこで、本研究では、自己重力・超音速乱流・磁揚・原始星アウトフローを考慮した大規模3次元磁気流体力学シミュレーションを遂行し、pcスケールの高密度ガス塊から星団が誕生する過程を解明することを大きな目標としている。 本年度の研究計画は、星団形成の数値シミュレーションのパラメータサーチを行い、星団形成領域の環境効果を解明することであった。これを踏まえ、雲の質量・サイズ・乱流強度・磁場強度などのパラメータを変え、256^3,512^3のシミュレーションを多数行った。特に、星形成の直接の母体となる分子雲コアの物理的性質がこれらのパラメータにどう依存するかを調べた。その結果、以下のことが明らかとなった。(1)形成されるコアの形状は、磁場強度や初期乱流場を変えても大きく変化しない。つまり、局所的な磁場構造にも影響を受けるが、主に局所的な乱流場による圧縮によって決められる。(2)雲の質量が大きい場合、外部から中心部へ向かう質量降着により星形成が加速度的に進むフェーズを経て、大質量星が形成される環境ができる。(3)コアの質量関数は磁場がない場合、急になり、力学的に重要な影響を及ぼす程度の磁場が存在すると、大質量のコアが形成されやすくなり、ベキがやや緩やかになる。本年度の研究成果は、投稿論文として準備中である。
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Research Products
(8 results)