2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540234
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
今井 裕 Kagoshima University, 理学部, 准教授 (70374155)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
出口 修至 鹿児島大学, 国立天文台野辺山宇宙電波観測所, 准教授 (20197825)
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Keywords | 宇宙メーザー / 漸近巨星枝星 / 老星ジェット / 超長基線電波干渉法 / 年周視差計測 / サブミリー酸化炭素輝線 |
Research Abstract |
恒星の進化末期には激しい質量放出がなされる。宇宙における“物質の輪廻"に大きく関わるこの現象は、実は極めて複雑である。特に、恒星は極めて球形に近いにも関わらず、宇宙空間にまき散らされるガスの分布や運動が球対称的なものから著しく異なることは、注目に値する。これは、まき散らされたガスが電離されてできた惑星状星雲の形状から確認できる。では、このような質量放出現象の非球対称性は、恒星進化途上の何時どのように発現するのか?本研究テーマは、星周ガス分布/運動の非球対称性を生み出す主要因と考えられる恒星からの細長い高速ガス放出流(ジェット)が、何時どのように駆動され発現するのかを解明することである。本年度では主に、(1)「宇宙の噴水」天体に付随するジェットや星周ガス縁から放射される一酸化炭素輝線の探査、(2)同領域からの水蒸気メーザー及び水酸基メーザースポット群の三次元運動の解明、(3)「宇宙の噴水」天体の距離と銀河系中での運動の計測を行った。その結果は以下にまとめられる。(1)水蒸気メーザーに見られる高速ジェットとほぼ同じ膨張速度を示す一酸化炭素輝線を検出し、細く絞られたジェットの生成と共にジェットとの垂直面に近い方向からも高速のガス流(赤道流)が形成されることを見いだした。老星からの質量放出のスピードが最高潮に達した時にジェットが形成される、あるいはジェット形成の副産物としてこのような赤道流が発生することが確かめられた。(2)前述(1)を支持するように、水蒸気メーザースポット群の運動に見られる双極ジェットの発生源と、水蒸気及び水酸基メーザースポット群の運動に見られる赤道流の発生源とで、それら位置が数10AU以内で一致することを見いだした。(3)「宇宙の噴水」天体の1つで年周視差計測に成功した(約13,000光年)。この天体の質量やジェットの実サイズを直接推定できただけでなく、この天体の軌道が銀河系回転の方向に良く一致していることを見いだした。どうやら「宇宙の噴水」天体は、比較的大きな質量を持つ星であることが推察された。これらのことは、それぞれ異なる質量を持つ恒星がその後それぞれどのような進化を遂げて星周空間に異なる影響を与えるのかを理解するのに大いにつながるものである。特に、太陽やそれよりやや重い星々の進化とそれらの星々による星周物質の進化の解明へとつながることが期待される。
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Research Products
(6 results)