2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540234
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
今井 裕 Kagoshima University, 理工学研究科(理学系), 准教授 (70374155)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
出口 修至 国立天文台, 野辺山宇宙電波観測所, 准教授 (20197825)
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Keywords | 宇宙メーザー / 近巨星枝星 / 老星ジェット / 超長基線電波干渉法 / 年周視差計測 |
Research Abstract |
恒星の進化末期には激しい質量放出がなされる。宇宙における"物質の輪廻"に大きく関わるこの現象は、実は極めて複雑である。特に、恒星は極めて球形に近いにも関わらず、宇宙空間にまき散らされるガスの分布や運動が球対称的なものから著しく異なることは、注目に値する。これは、まき散らされたガスが電離されてできた惑星状星雲の形状から確認できる。では、このような質量放出現象の非球対称性は、恒星進化途上の何時どのように発現するのか?本研究テーマは、星周ガス分布/運動の非球対称性を生み出す主要因と考えられる恒星からの細長い高速ガス放出流(ジェット)が、何時どのように駆動され発現するのかを解明することである。本年度では主に、(1)同領域からの水蒸気メーザー及び水酸基メーザースポット群の三次元運動の解明、(2)「宇宙の噴水」天体の距離と銀河系中での運動の計測を行った。その結果は以下にまとめられる。(1)観測されたジェットの1つが螺旋運動を伴っている可能性を見いだした。このような動きは、ジェットが磁気流体力学的な作用を受けていることを示唆するが、確実な結論を得るにはさらなる詳細な調査が必要である。(2p)「宇宙の噴水」天体や関連する天体、併せて3天体について、正確な年周視差計測に成功した。これらの天体の質量やジェットの実サイズを直接推定できただけでなく、軌道も銀河系回転の方向に良く一致していることが、去年度よりも高い確度で示された。どうやら「宇宙の噴水」天体は、比較的大きな質量を持つ星であることが推察された。これらのことは、それぞれ異なる質量を持つ恒星がその後それぞれどのような進化を遂げて星周空間に異なる影響を与えるのかを理解するのに大いにつながるものである。特に、太陽やそれよりやや重い星々の進化とそれらの星々による星周物質の進化の解明へとつながることが期待される。
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Research Products
(7 results)
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[Journal Article] VERA observations of SiO maser emission from R Aquarii2010
Author(s)
Kamohara, R., Bujarrabal, V., Houma, M., Nakagawa, A., Matsumoto, N., Oyama, T., Imai, H., Shibata, K.M., Kobayashi, H., Sato, K., Ueno, Y.
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Journal Title
Astronomy and Astrophysics A69
Pages: 1-16
Peer Reviewed
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[Journal Article] CO in OH/IR stars close to the Galactic centre2009
Author(s)
Winnberg, A., Deguchi, S., Reid, M.J., Nakashima, J., Olofsson, H., Habing, H.J.
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Journal Title
Astronomy and Astrophysics 497
Pages: 177-181
Peer Reviewed
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