2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540238
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
松本 倫明 Hosei University, 人間環境学部, 准教授 (60308004)
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Keywords | 理論天文学 / 宇宙物理学 / 星形成 / 数値流体力学 |
Research Abstract |
本研究は、磁気乱流を持った分子雲コアが自己収縮して星が形成する様子を、高精度マルチスケール数値シミュレーションで探査することにより、乱流が多重星や連星の形成を励起する可能生を探査する。平成20年度は、シミュレーションコードの超並列計算機への最適化、乱流星形成モデルの構築、大規模シミュレーションを用いた研究を遂行した。 シミュレーションコードの最適化では、並列加速率88%(256コア・128コア比)と高い性能を達成した。シミュレーションの実行環境は、国立天文台の天文シミュレーションプロジェクトの共同利用における超並列マシンを用いた。 つぎに乱流星形成モデルを構築した。観測されるパワースペクトルとしてラーソン則がよく知られおり、本モデルではこのラーソン則に従う磁気乱流を採用した。 さらに、上記の磁気乱流モデルを用いて、磁気乱流を持った分子雲コアの収縮をシミュレーションで追跡した。その結果、観測から示唆されるような強い磁場を仮定した場合には、分子雲コアから単独星が形成した。標準的なシナリオでは、多重星の形成は分子雲コアの回転によって励起される。また、本モデルでは分子雲コアの回転は乱流運動に内在している。そこで、回転を速くするために、強い乱流を持ったモデルを調べた。その結果、強い乱流を仮定した場合には、乱流は分子雲コアの重力収縮をさまたげ、星形成が起きなかった。 これらの結果は、星形成の初期段階においては、乱流を持った分子雲コアから多重星が形成される可能性は低いことを示唆する。今後は、星形成のさらに後期段階(質量降着期)においても、多重星の形成の可能性を調べる予定である。
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