2010 Fiscal Year Annual Research Report
光ファイバー導入方式望遠鏡高分散分光器システムの実験室系での評価
Project/Area Number |
20540240
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
神戸 栄治 国立天文台, 岡山天体物理観測所, 研究員 (80435510)
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Keywords | 光赤外線天文学 / 高分散分光器 / 光ファイバー / 視線速度精密測定 / 系外惑星 / 恒星天文学 |
Research Abstract |
国立天文台岡山天体物理観測所では、観測効率の向上を目指して、共同利用観測装置である188cm望遠鏡と高分散分光器HIDESとを光ファイバーで結ぶ計画を進めている。本研究の目的は、実験室に簡易分光器などを組み上げて、このシステムで使用する、マイクロレンズ、光ファイバー、イメージスライサーなどの光学系の入念な検査や評価を行うことである。昨年12月に光ファイバー導入システムのファーストライトを迎えることができ、これまでの2倍程度の観測効率(スループット)改善や短期間ではあるが1m/sに迫る視線速度測定精度など、目標に近い性能が得られたので、今年度は、さらに集中的な試験観測や光学系の実験室での検査を行って、その効率等の改善に努めた。 まず、昨年度試験観測で使用していたマイクロレンズ(光ファイバーの入射側)を検査したところ、偏芯があるために光軸に対して傾けて置く必要があり、これがガイダーの視野を狭める原因となっていたので、より偏芯の小さい新しいマイクロレンズレンズに交換した。また、このマイクロレンズのホルダーの形状が悪く、光ファイバーとの隙間を埋めるために使用しているマッチングリキッドがレンズ前面に浸み出して、光の透過率を少し落としていることがわかったので、このホルダーも修正した。このような細かい改善を続けた結果、現在、550nm付近においては1等級以上のスループットの改善が達成でき、系外惑星探索などではこれまでの倍以上の速さで観測データが取得できている。 今後も、より高いSNを目指したモーダルノイズの精査・実験(現在は1,500まで)や青波長域での効率の改善(現状では450nmでは従来の1.5倍程度のスループット)の努力を続けていく予定である。なお、光ファイバー導入システムはすでに共同利用観測者に公開しており、現在我々は今回の開発についての論文を執筆中である。
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Research Products
(2 results)