2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540246
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
隅野 行成 Tohoku University, 大学院・理学研究科, 助教 (80260412)
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Keywords | 素粒子論 / QCDポテンシャル / フェルミオン質量 / トップクォーク / 物理定数 / 輻射補正 / 束縛状態 |
Research Abstract |
今年度はQCDポテンシャルの3ループ輻射補正計算を完成させた。またレプトンの質量の起源として世代ゲージ対称性を提唱した。 前者の課題においては、過去十年間我々の研究分野で嘱望されてきた計算を完成させた。応用範囲は広く、ボトムクォークやチャームクォークの質量の精密決定、強い相互作用の結合定数の精密決定、中間距離から近距離における強い相互作用の様々な性質の研究、クォーコニウムの物理諸量の計算などが挙げられる。計算結果は査読で注文をつけられることなくPhysical Review Lettersに掲載された。本研究課題の最も重要で難しい部分を達成したことになり、その意義は大きいと考える。新しい計算手法を幾つか開発し、従来よりも計算速度を高速化することができた。例えば、Laportaアルゴリズムに従ってループ積分をマスター積分に簡約化する際に、まず次元Dに数値を代入しておいて最適な簡約化の経路を定めておき、その後で改めてDを残したまま最適経路を使って簡約化する。またマスター積分の評価においては、static charge特有のFeynman parameterの取り方が存在して、その場合にsector decompositionによる特異点解消が大幅に簡略化される、などである。 後者の課題においては、1983年に小出氏が発見したKoide質量公式は、現在の実験精度(7×10^-6)でも成り立っている。一方で現在までに、この質量公式を必要な精度で予言する素粒子モデルは存在しない。それは、この公式を予言するモデルの構築には大きな困難が伴うためで、その最大の困難は、QED補正(0.1%)がこの質量関係式を実験精度に比べて大きく破るということである。最近私はこの最大の困難を解決するメカニズムを発見した。またそれ以外のいくつかの困難も解決するレプトンセクターのモデルを構築した。
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Research Products
(4 results)