2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540248
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
石塚 成人 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 准教授 (70251030)
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Keywords | 格子場の理論 / 共鳴状態 / 散乱位相 |
Research Abstract |
本研究の目的は「格子QCDにより共鳴状態の性質を調べる方法の確立」である。具体的な方法として、崩壊の終状態の散乱位相を計算し、その値から共鳴状態の崩壊幅と共鳴エネルギーを求める方法を採用する。この目的のために、平成20年度はρ中間子系の研究からはじめた。 散乱位相を求めるには、系のエネルギーと散乱位相を結びつける関係式が必要である。これまで、全運動量がp=(0,0,0)と(0,0,1)の場合のみ関係式が知られており、数値計算もこの運動量でのみ行われていた。しかし、信頼できる崩壊幅と共鳴エネルギーを得るには、種々の運動量での計算が必要である。そのため本研究では5種類の運動量で数値計算を行う事にした。平成20年度前半は、このρ中間子系の研究に必要な関係式と、後に研究予定の他のハドロン系(Kπ,NN,Nπ)での関係式の導出を行った。これらの導出は12月まで完了し、ここで数値計算に必要な理論が全て出そろった。この関係式の導出、およびそこで得られた新たな理論的発見は、平成21年6月までに論文発表を行う予定である。 本研究では、PACS-CSグループによって物理点に近い場所で生成された配位を用いる。この配位を使った数値計算のための、計算コードの開発を9月から開始した。現在、コードはほぼ完成し、その試験計算を16ノード以下の小さい計算機規模で行っている。試験計算の結果は順調であり、ほぼ満足できる計算速度が実現されている。 また、2体π中間子系のハドロン間相互作用の研究を数年前から行っていた。この研究は本研究にひきつがれ、本年度この研究が完了した。この研究によって、ρ中間子系の研究で必要な体積は3fmである事がわかり、本研究で採用した体積が十分な大きさであることがわかった。研究成果は、論文発表した(11.研究発表[雑誌論文]に記載)。
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Research Products
(1 results)