2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540249
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
上原 正三 Utsunomiya University, 工学研究科, 教授 (20168652)
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Keywords | M理論 / 超弦理論 / コンパクト化 / アノマリー / M2ブレイン |
Research Abstract |
研究目的にあげられているように、素粒子の統一理論としての有力候補である超弦理論/M理論の中で、特に11次元M理論における素励起のひとつである、空間2次元の拡がりをもつ物体であるM2ブレーンの解析を推し進めた。これまでに、M2ブレーンに対応する11次元超膜理論の作用を用いて、11次元時空のうち、空間方向2次元分をトーラスヘコンパクト化した幾何的配位をとる場合を解析し、古典的作用のレベルで、type IIB超弦理論に存在する基本弦とD弦の結合状態と思われている(p,q)-弦を、元の超膜理論の作用から直接かつ具体的に導出することに成功した。しかしながら、量子論的についてはこれからの課題であったため、研究実施計画にもあったように、半古典的近似による定性的な解析をおこなった。 他の研究において、M理論の1次元コンパクト化の極限によりtypeIIA超弦理論が演繹される場合での、半古典的な解析がなされていた。しかし、その解析でのゲージ固定など、2次元トーラスへのコンパクト化へ適用するには適していなかった。また、アノマリー項の発生理由についても、従来の超弦理論の量子化の際のアノマリー項との関係については詳しい解析がなかった。そこで、より多くの場合のコンパクト化への適用も視野に入れて、ゲージ固定から詳しく解析を行ない、半古典的な解析を進めた。その結果、従来問題ないと思われていた計量テンソルのゲージ固定が、必ずしも適用できる条件ではないことが分かったため、解析にかなりの時間を要することになってしまった。しかし、アノマリー項については、当初予想していた方法とは別の方法でも導出できることがようやく分かり、現在、それらの成果の一部をまとめている状況である。
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