2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540249
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
上原 正三 宇都宮大学, 工学研究科, 教授 (20168652)
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Keywords | M理論 / 超弦理論 / コンパクト化 / アノマリー / M2ブレイン |
Research Abstract |
研究目的にあげられているように、素粒子の統一理論としての有力候補である超弦理論/M理論の中で、特に11次元M理論における素励起のひとつである、空間2次元の拡がりをもつ物体であるM2ブレインの解析を推し進めた。 これまでに、M2ブレインに対応する11次元超膜理論の作用を用いて、11次元時空のうち、空間方向2次元分をトーラスヘコンパクト化した幾何的配位をとる場合を解析し、古典的作用のレベルで、typeIIB超弦理論に存在する基本弦とD弦の結合状態と思われている(p,q)-弦を、元の超膜理論の作用から直接かつ具体的に導出することに成功した。今年度はさらに、直接10次元の弦理論の作用として記述する場合と比べ、コンパクト化の結果、影響が何らかの形跡を残していないか考察を進めた。先行研究では、M理論の1次元コンパクト化の極限によりtypeIIA超弦理論が演繹される場合での、半古典的な解析がなされていた。しかしながら、ゲージの固定方法など、2次元トーラスへのコンパクト化へも適用するには先行研究は適した方法をとっていなかった。さらに、アノマリー項の発生理由についても、従来の超弦理論の量子化の際のアノマリー項との関係についての詳しい解析はなかった。そこで、いろいろなコンパクト化への適用を視野に入れ、詳しく超膜理論のゲージ固定について解析を行ない、半古典的な解析を進めた。その結果、従来問題ないと思われていた計量テンソルのゲージ固定が、必ずしも適用できる条件ではないことが分かった。さらに、アノマリー項については、当初予想していた方法とは別の方法でも導出できることが分かり、その結果、弦の摂動展開のパラメーターと深く関係するディラトンと弦の世界面の曲率の結合が、コンパクトの結果導かれることを、経路積分法におけるアノマリーの計算手法を用いて導くことに成功した。
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