2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540258
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
白水 徹也 Kyoto University, 大学院・理学研究科, 准教授 (10282716)
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Keywords | 高次元ブラックホール / 高次元時空 / 量子重力 / 原始磁場 / 時空の漸近構造 / ペンローズ不等式 / 共形幾何 |
Research Abstract |
超弦理論に従えば、時空は高次元時空であることが強く示唆されている。それにもかかわらず、高次元時空の基礎的な性質がほとんど調べられていないのが現状である。ダークエネルギー解明にもこの種の基礎研究を避けては通れない。そこで、本年度は時空の漸近構造ならび重力崩壊現象に焦点を絞って研究を行った。 4次元時空と比べ高次元時空では漸近構造が複雑であるが、我々は漸近構造の対称性ならびにそれに付随した保存量について考察を行った。この結果によって高次元時空における遠方の観測者が測定できる保存量の存在を保証を世界で初めて行った。また、重力崩壊の最終状態のブラックホール時空の唯一性の証明とペンローズ不等式の証明が等価であることを世界で初めて明らかにした。このことはダークエネルギーが存在する宇宙におけるブラックホールの性質を調べる際に有効な新たな手法を提供する可能性があり、今後の研究の展開が大いに期待される。 その他、量子重力理論の候補として提唱されたHorava-Lifshitz理論では、宇宙膨張の過程で自然に磁場が生成されることを指摘した。この磁場は銀河形成後にダイナモ過程などにより現在観測されている磁場の起源になると期待される。
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Research Products
(5 results)