2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540258
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
白水 徹也 京都大学, 理学研究科, 准教授 (10282716)
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Keywords | 宇宙論 / 高次元時空 / 重力理論 / 非線形現象 / ダークエネルギー |
Research Abstract |
高次元時空はダークエネルギーの理解に重要な役割を果たすと考えられる。本年度は、高次元時空の基礎的性質の解明に向け、高次元時空の漸近構造の解析を中心とした重力現象の研究をおこなった。まず、歪曲した余剰次元模型(ブレイン模型)において、ブレイン上の宇宙項がブラックホールに与える影響を調べた。宇宙項によりブラックホールの大きさが制限されるが、許される最大の大きさは余剰次元効果によって通常の一般相対論におけるものとは異なることを明らかにした。続いて、漸近的に平坦な高次元時空における静的ブラックホール解のまわりの電気的多脚場の性質を調べ、そのようなブラックホールは双極電荷を持てないことを証明した。また、高次元ブラックホールを特徴付ける基礎的な物理量を明らかにするために、まず高次元ブラックホールの多重極モーメントの定義を与え、具体的に球状のブラックホールとリング状のブラックホール(ブラックリング)は4重極モーメントにより区別できることを示した。5次元時空の光的無限遠における角運動量に関する研究もおこなった。特に、4次元時空ではそのような角運動量の定義に不定性があることが知られているが、高次元時空では角運動量を不定性なく定義できることを指摘した。 これらの一連の研究により、高次元時空の動的性質や保存量に関する基礎的諸問題に関して理解が進展した。これらの研究は、高次元時空の基礎的性質を系統的に理解するための重要な土台になると考えられる。
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