2009 Fiscal Year Annual Research Report
中質量領域中性子過剰原子核に現れるダイニュートロン相関とエキゾチック集団励起
Project/Area Number |
20540259
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
松尾 正之 Niigata University, 自然科学系, 教授 (70212214)
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Keywords | ダイニュートロン相関 / 中性子対移行 / 対振動状態 / 変形連続状態ハートレー=フォック=ボゴリュボフ理論 / 中性子ドリップライン核 / 対相関 |
Research Abstract |
本研究課題は、中質量領域の中性子過剰原子核を対象に、ダイニュートロン相関とエキゾチック集団励起モードに着目して、この領域の原子核構造の特徴を理論的に解明することを目指したものであり、本年度は以下の2点に関して研究を実施した。 1.ダイニュートロン相関の間接的に示す物理量としての対移行行列要素の研究 前年度の研究により、ダイニュートロン相関を実証するための間接的な手法として有効であると判明した対移行反応行列要素に着目し、Skyrme密度汎関数を用いた連続状態QRPA理論を用いて分析を進めた。前年度の成果を発展させ、4重極振動状態への中性子対移行をSn同位体の広範な範囲で系統的に分析し、対相互作用の低密度部分への感受性が系統的であることを見出した。また、0^+対振動状態への対移行行列要素も系統的に分析し、^<132>Snよりも中性子過剰な同位体で、行列要素の顕著な増大を見出した。この異常な0^+対振動状態の性質を遷移密度の観点からも分析を行い、核外部に大きな振幅を持つなどの弱束縛系の特徴を見出した。 2.変形連続状態HFB理論を用いた変形中性子過剰核の分析 部分波展開チャネル結合形式で定式化した変形連続状態HFB理論を用いて、ドリップライン近傍でかつ変形が推定される中性子過剰Ne/Mg領域同位体を対象にした数値的な分析を行った。特に、準粒子状態が連続状態に埋め込まれて生じる共鳴状態の特徴を、フェルミエネルギーの変化と共鳴の幅や強度の関連から分析し、ドリップライン近傍の変形中性子過剰核において、対相関はその強さを保つことを解明した。
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