Research Abstract |
大原が中心となって,数値相対論の数値シミュレーションを実行するサーバーの性能評価を行った。これには,既存のIntel Xeon X3360(メモリーDDR2-800 ECC 2GB×2), ADM Phenom 9950(DDR2-1066 2GB×2),および,本補助金でパーツを購入し組み立てた AMD Opteron 2382×2(DDR2-667 Reg.ECC 2GB×4)で構成されたものを用いた。その結果,計算速度は,基本的にメモリーのアクセス速度に大きく依存することが確認された。使用するメモリーが小さく,CPUのキャッシュにすべて入る場合には,並列化の効率は非常に高いが,現実のシミュレーションのように大きなメモリーが必要な場合,並列化の効率はCPUのアーキテクチャに大きく依存する。特に, Phenomでは,4つのコアをすべて用いた4並列での効率が他のCPUよりも高いが,Xeonでは,最適なコアを用いた2並列での実行が,4並列や他のコアの組み合わせよりも効率が高い,しかし,いずれもPhenomよりも性能が出ない。また,Opteronでもmulti-CPUという構成のため,8並列よりも4並列や6並列のほうが性能が良いこともわかった。コアの使い方に関しては,XeonとOpteronのアーキテクチャの違いにより,全く異なる特徴を示している。これらの研究結果は,一般的なPCでの利用とかなり異なるもので,このような場合とメモリーのアクセスの仕方が異なる科学技術計算の特徴をよく示しており,次年度以降のシミュレーションを行っていく上で重要なデータを得ることができたといえる。 いっぽう,重力波データ解析については,高橋が中心となり,カーディフ大のグループとも協力して,スピンを考慮した大規模なテンプレートが必要な場合でも,効率よいテンプレート配置方法の研究を進め,静的ガウスノイズのおよびLIGO検出器の実データに適用し,その有効性を示した。
|