2009 Fiscal Year Annual Research Report
有限温度・有限密度カイラル相転移とハドロン・クォークの性質の研究
Project/Area Number |
20540262
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
原田 正康 Nagoya University, 大学院・理学研究科, 教授 (40311716)
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Keywords | 量子色力学(QCD) / カイラル対称性 / 低エネルギー有効模型 / カイラル相転移 / レプトン対エネルギー分布 / ベクトル-軸性ベクトル中間子混合 / 4クォーク凝縮 |
Research Abstract |
(1)重イオン衝突実験でのレプトン対エネルギー分布の解析 我々は、以前の模型計算により、相転移温度近傍でρ中間子が軽くなると、ρ中間子と光子の結合定数が小さくなる可能性を指摘しました。本研究では、その結果として、重イオン衝突実験で測定されるレプトン対エネルギー分布から相転移温度近傍のρ中間子の情報を得るためには、主な寄与を与える低温領域のρ中間子の効果を正しく見積もる必要があることを指摘しました。(成果はProgress of Theoretical Physicsに掲載されました。) (2)有限密度媒質中のレプトン対エネルギー分布へのベクトル-軸性ベクトル中間子混合効果の解析 有限密度媒質中に特有のベクトル-軸性ベクトル中間子混合が、レプトン対エネルギー分布にどのような効果を及ぼすかを、低エネルギー有効模型を用いて解析しました。そして、混合効果がスペクトルにブロードニング効果を与えることを見いだしました。(成果はPhysical Review Cに掲載されました。) (3)クォーク凝縮の効果の解析 以前より、有限密度においては、従来のクォーク・反クォーク型凝縮(2クォーク凝縮)に代わって、2クォーク・2反クォーク型の凝縮(4クォーク凝縮)が起こることによりカイラル対称性が破れる可能性が指摘されていました。我々は、この場合のクォーク数感受率を、線形シグマ模型を用いて調べました。そして、2クォーク凝縮がゼロになる相転移点でクォーク数感受率が大きくなることを見いだしました。(成果はPhysical Reyiew Dに掲載されました。)
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