2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540266
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小林 達夫 京都大学, 理学研究科, 准教授 (60322153)
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Keywords | 超弦理論 / 標準模型 / 超対称性 |
Research Abstract |
超弦理論は、重力を含む統一理論の有力な候補である。超弦理論が本当に素粒子物理として、意味がある理論であるならば、低エネルギー有効理論として標準模型を再現するはずである。本研究の目的は、素粒子物理学の様々な現象論的性質が超弦理論の枠組みからどのようにして導出されるのかを研究することである。本年度我々は、F理論による現実的な模型の構築、背景磁場をもつ模型の構築、および、そのフレーバー構造の解析を行った。F理論は、IIB型超弦理論強結合理論を記述すると考えられ、最近その現象論的な応用が盛んに研究されるようになった。我々は、E8群から大統一理論を経ずに直接標準模型を導出するシナリオを研究した。さらに、別の模型として、背景磁場のあるプレーン模型において、現実的な模型の構築を行った。一方でそのようなブレーン模型の現象論的な性質、特にフレーバー構造についての研究を行い、特定の非可換離散群がフレーバー対称性として現れることを示した。今後はこの解析の結果を生かし、現実的なクォーク・レプトンの質量行列を導出する研究を行う予定である。また、弦理論に常に現れるもモジュライの安定機構を研究し、インフレーション中でもモジュライが安定化され、低エネルギーで超対称性が破れるシナリオの提案を行った。今後はその解析をさらに進め、宇宙背景放射などについて、詳しい解析をする計画である。
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