2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540269
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤田 裕 Osaka University, 理学研究科, 准教授 (10332165)
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Keywords | プラズマ / 銀河 / 銀河団 |
Research Abstract |
本年度は観測と理論の両面から銀河団中の高エネルギー現象の解明を行った。 まず、日本のX線天文衛星「すざく」を用い、へびつかい座銀河団に充満する約1億度の高温ガスの観測を行った、従来この銀河団では他の銀河団との衝突で発生した高エネルギー粒子が存在すると言われていたが、我々の観測はそのような粒子がほとんどないことを示した。この結果は銀河団の衝突と高エネルギー粒子の加速の関係の見直しを迫るものである。 一方、理論の面からは、銀河団を構成する銀河の中心にある、質量が太陽の1億倍にもなる巨大ブラックホールの進化に焦点を当てた研究を行った。銀河はしばしば衝突と合体を行うが、そのとき、それぞれの銀河の中心にあるブラックホールも衝突し、合体すると以前は考えられていた。しかし、近年のコンピューターの能力の向上に伴い可能になった高精度重力波計算により、ブラックホールは合体時の重力波の放出による反動で、銀河中心から飛び出す可能性が指摘されている。本研究で、その飛び出したブラックホールが周囲の環境に与える影響について調べたところ、ブラックホールが銀河の重力に引かれて銀河円盤に戻ってきたとき、周囲の星間ガスを吸収することで明るく輝き、周囲を熱する可能性を示した。さらに衝撃波周囲における粒子加速をコンピューターシミュレーションで調べた。その結果、銀河中の超新星残骸の場合、衝撃波からの放射は主に陽子の相互作用によって生じていることが分かった。
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