2011 Fiscal Year Annual Research Report
レプトンによる中間子生成反応とエキゾチックバリオンの研究
Project/Area Number |
20540270
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
佐藤 透 大阪大学, 大学院・理学研究科, 准教授 (10135650)
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Keywords | バリオン共鳴 / 中間子生成反応 / ダイバリオン共鳴 / 電子散乱 / ストレンジネス / 解析接続 |
Research Abstract |
本研究の目的はバリオン共鳴、エキゾチックハドロンの構造を解明していくことにある。本年度は1.光子による中間子発生反応によるバリオン共鳴のスペクトル2.ストレンジダイバリオン共鳴に関して以下の成果を得た。 1中間子生成反応の模型を拡張し、新にストレンジネスを生成するハイペロンとK中間子のチャンネルを取り入れた。これによりSU(3)8重項の基底状態Goldstone Bosonとスピン1/2バリオンからなるバリオン・メソンチャンネルをすべて取り入れることができた。新しい模型を用いて不変質量が2GeVの領域までのパイ中間子および光子と核子反応における中間子生成過程の解析し、得られた散乱振幅の複素エネルギー平面における解析性を前年度に開発した方法を用いて調べた。その結果不変質量が2GeV以下の質量領域における共鳴粒子のスペクトル崩壊幅、分岐比の研究を完成した。これまで発見されたとされる共鳴粒子の幾つかは我々の包括的な中間子生成反応の解析からは同定されず、今後詳細な検討を進める予定である。 2理論的に予言されたストレンジクオークを含むK中間子が2核子と束縛したストレンジダイバリオンの存在が最近光子やK中間子を用いた実験により調べられようとしている。本研究ではKNN-πYNのチャンネル結合AGS方程式を初めて実運動量・実エネルギー上で解き、3体の散乱振幅に現れるストレンジダイバリオン共鳴のシグナルを解析した。実運動量・実エネルギー上における3粒子散乱振幅の解析は1粒子交換過程による3粒子問題グリーン関数の特有特異性のために生じる数値解法上の困難がある。ここではpoint methodと呼ばれるパデ近似により解析接続する方法を用いてこの特異性を処理した。解析の結果、KNN-πYN系の散乱振幅にストレンジダイバリオン共鳴のシグナルが実際見られることが示された。
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Research Products
(4 results)