2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540271
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
田越 秀行 Osaka University, 大学院・理学研究科, 助教 (30311765)
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Keywords | 一般相対論 / 重力波 / ブラックホール / 重力波検出器 / 中性子星 / 宇宙物理学 |
Research Abstract |
今年度はブラックホール時空を星が運動する際に放出される重力波の数値的研究を主に行った.ブラックホール摂動の基礎方程式であるTeukolsky方程式を数値的に解くコードの改良を行い、計算精度をあまり犠牲にせずに計算速度を向上する方法の研究を行った.その結果、微分方程式をテイラー展開を用いて解く方法が有効であることが分かった.これは,従来用いてきた,解を超幾何関数展開で表す方法により,ある点で高精度に解を求め,その点を出発点として他の点の解はテイラー展開により次々と求めていく方法である.また,カーブラックホール周りの星の一般的な束縛運動による軌道をヤコビ楕円積分で表し,計算コードの高精度化を行った.以上の後これらのコードにより,様々な軌道パラメータの場合について放出される重力波と,それによる軌道パラメータの断熱的変化率を数値的に評価した.この中で,これまで正確には求められていなかった軌道傾斜角及びカーター定数という運動の定数の変化率も求めた. 地上重力波検出器のデータ解析方法研究を実際のデータ解析への応用として,神岡鉱山にある100mレーザー干渉計CLIOが,2007年2月に取得した約80時間分のデータを解析して,パルサーPSR JO835-4510(Velaパルサー)からの周期的重力波探査を行った.その結果,重力波振幅の上限値として5.3×10^<-20>という値を得た.このパルサーからの重力波探査はこれまで行われてこなかったため,これは世界で初めての結果である.
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