2009 Fiscal Year Annual Research Report
磁場をもつ連星中性子星の準平衡状態と数値相対論の初期データ
Project/Area Number |
20540275
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
瓜生 康史 University of the Ryukyus, 理学部, 准教授 (40457693)
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Keywords | 相対論的宇宙物理学 / 数値相対論 / 重力波 / 連星中性子星 / 中性子星磁場 / ブラックホールー中性子星連星 / 高速回転星 / 高密度物質の状態方程式 |
Research Abstract |
本研究では,磁場の効果を取り入れた連星高密度星や高速回転中性子星の準平衡状態を求めるための,最も一般的な数値計算コードの開発を行っている。また,このような準平衡解から,数値相対論シミュレーションの精密で現実的な初期条件を求めることや,準平衡解を元にした重力波形モデルの構築を目的としている。2008年度に引き続き,Eric Gourgoulhon氏(仏CNRS研究員,パリ天文台)にHarris Markakis氏(ウィスコンシン大ミルウォーキー)を加えて磁場を持つ連星高密度星計算のための新しい定式化について共同研究を継続した。パリ天文台を1ヶ月間訪問し,その間に磁場を伴うブラックホールと中性子星からなる連星系についての一般化された熱力学の法則を導くことに成功した。この結果は現在投稿準備中である。また,磁場を持つ回転中性子星の数値計算法の開発ついて,江里口良治氏(東大)と藤澤幸太郎氏(東大)との共同研究を継続し,特に藤澤氏を琉球大学に招聘してこの計算のための定式化を完成させた。今後これらの定式化を数値計算コードに実装する予定である。本年度は定式化に予定以上の時間を要したため,数値計算コードの開発がやや遅れ気味となったが,コードの整備も進めており,特に連星計算に適した座標上でボアソン方程式を解くサブルーチンと,重力波成分の計算に用いるヘルムホルツ方程式を解くサブルーチンの実装に成功した。これを利用して連星や3軸不等に大変形した中性子星からの重力波を準平衡解から直接見積もることが可能になる考えている。この他に原始中性子星のモデルとなりうる3軸不等に大変形した中性子星の数値計算を継続しており,今後,星のコアの重力崩壊後に生成される原始中性子星のモデルを構築すること計画している。最後に,2010年3月中旬に「高密度天体の物理学」のタイトルで小規模のワークショップを本研究費を利用して開催した。 (http://ea.c.u-tokyo.ac.jp/compactstar10.html)
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Research Products
(6 results)