2009 Fiscal Year Annual Research Report
非アーベリアンプラズマにおける非平衡ダイナミックスの研究
Project/Area Number |
20540276
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Research Institution | Akita International University |
Principal Investigator |
奈良 寧 Akita International University, 国際教養学部, 助教 (70453008)
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Keywords | 量子色力学 / プラズマ / 高エネルギー重イオン衝突 / クォークグルーオンプラズマ(QGP) |
Research Abstract |
ブルックヘブン国立研究所のRelativistic Heavy Ion Collider (RHIC)加速器での高エネルギー原子核衝突実験では、宇宙初期で存在していたと予想される高温高密度状態を作り出して、その物性を研究することが目的である。RHICで行われている重要な実験結果の一つに、楕円型フローが流体型の予言と一致するということがあげられる。しかし、この事実は流体で使われる初期条件に強く依存することが知られている。特に、ハドロン衝突の高エネルギー極限で出現されると考えられているカラーグラス凝縮(Color Glass Condensate, CGC)状態を考慮にいれた計算では、衝突で作られた熱い物質の空間的分布の歪み(eccentricity)が大きくなり、したがって楕円型フローも大きくなることが知られている。このように、原子核が衝突してから平衡状態に達する前の情報を正しく知ることが必要である。この非平衡状態の情報を実験から引き出すために、今回は原子核中の核子の揺らぎのを考慮にいれたCGC計を用いて、流体模型の初期条件としてその効果を調べた。その揺らぎの効果を取り入れることによって、これまで説明されていなかった中心衝突における楕円型フローを再現できることを示し,楕円型フローのインパクトパラメータ依存性がうまく再現されることを示した。この結果は、今後の非平衡ダイナミックスの時間依存性を議論する上で、CGCの効果を考慮に入れる必要性を示唆している。
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Research Products
(5 results)