2011 Fiscal Year Annual Research Report
非アーベリアンプラズマにおける非平衡ダイナミックスの研究
Project/Area Number |
20540276
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Research Institution | Akita International University |
Principal Investigator |
奈良 寧 国際教養大学, 国際教養学部, 准教授 (70453008)
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Keywords | 量子色力 / プラズマ / 高エネルギー重イオン衝突 / クォークグルーオンプラズマ |
Research Abstract |
ブルックヘブン国立研究所のRelativistic Heavy Ion Collider (RHIC)加速器や、ジュネーブにあるCERNのLHC加速器による高エネルギー原子核衝突実験では、宇宙初期で存在していたと予想される高温高密度状態を作り出しその物性を研究することが目的である。 ハドロン衝突の高エネルギー極限で出現されると考えられているカラーグラス凝縮(Color Glass Condensate, CGC)状態を考慮にいれた計算を行うために、グルーオンの分布関数にrunning couping Balitsky-Kovchegov (rcBK)方程式の数値解を採用した。原子核衝突の計算を行うためには、色々な初期条件に対するrcBKの結果のテーブルを作る必要がある。そのために新しい数値計算の方法として、グラフィックカードを使ったCudaによるGPU計算を導入できるようにした。その結果従来のCPU計算に比べて約100倍の速度で計算できるようになった。 最近、カラーグラス凝縮に基づいた初期条件を使った流体計算では、RHIC/LHCで測定された楕円形フローと三角形フローを同時に再現きないと示唆されている。しかし、核子の位置の揺らぎ以外に、グルーオン生成におけるグルーオン数の揺らぎの効果を取り入れると、まったく異なった初期条件が与えられることがわかった。つまり、グルーオン数の揺らぎの効果は非常に大きいことを示した。この新しい初期条件は重イオン衝突の非平衡状態の時間発展やその後の流体計算の結果に対して重要である。
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Research Products
(7 results)