2008 Fiscal Year Annual Research Report
対相関とエネルギー密度関数による非対称核物質および原子核の研究
Project/Area Number |
20540277
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Research Institution | The University of Aizu |
Principal Investigator |
佐川 弘幸 The University of Aizu, コンピュータ理工学部, 教授 (50178589)
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Keywords | 不安定原子核 / 状態方程式 / 超伝導状態 / 巨大共鳴 / テンソルカ |
Research Abstract |
平成20年度はつぎのような研究を行った。 1、現実的対相関と対中性子の表面凝縮。核物質内では、対相関は強い密度依存性を持つことが知られている。核子散乱から決定された対相関を用いて、対称核物質および非対称核物質での超伝導状態のBCS-BECクロスオーバーの密度依存性を明らかにした。また、この対相関をHF+Bogoliubov理論に応用し、対中性子の原子核表面での凝縮相の存在を研究する。特に中性子崩壊線上の不安定原子核に注目し対相関のアイソスピン依存性や中性子凝縮相の実験的検証を探った。 2、巨大共鳴による状態方程式の決定。中性子分布を実験的に調べる荷電移行反応によるspin-dipole巨大共鳴測定により、90Zrでの理論的および実験的研究を行い、従来の陽子散乱での実験誤差の約半分の精度で中性子スキンを決定した。さらに、非相対論的および相対論的HF+RPA模型の理論計算により、荷電移行反応によるspin-dipole巨大共鳴の研究や、不安定原子核でのmonopole巨大共鳴の研究行い、巨大共鳴と中性子スキンさらに非対称核物質の状態方程式の関係を明らかにした。 3、平均場計算のためのテンソル力と粒子・振動結合効果含むエネルギー密度関数の開発。テンソル力の効果は、平均場計算にごく最近まで定量的には採り入れられていなかった。我々は、 Skyrme相互作用にテンソル力の効果を取り入れて、原子核の魔法数に対する影響やスピン依存型集団運動への効果を系統的に調べた。また粒子振動結合効果とテンソル力の競合関係を定量的に調べ、原子核内でのエネルギー密度関数に対する効果を明らかにした。 これらの研究成果は、学会誌や国際会議等で発表されその重要性が高く評価された。
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Research Products
(12 results)