2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540280
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
千葉 剛 Nihon University, 文理学部, 教授 (40324602)
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Keywords | ダークエネルギー / 重力理論 |
Research Abstract |
最近の天文学的観測から、正の宇宙項によって現在宇宙が加速膨張していることが強く示唆されている。ダークエネルギーのある一般相対論での膨張則と同じ膨張則はダークエネルギーのない変更された重力理論でも再現できる。したがって、宇宙の膨張則に限れば、ダークエネルギーの効果と重力理論の変更することによる効果には縮退がある。そこで本研究では、まず、この縮退を解く観測量に注目し、観測から「ダークエネルギーのある一般相対論」と「ダークエネルギーのない変更された重力理論」とがどの程度の精度で峻別可能か、を将来の観測計画も視野に入れて定量的に明らかにすることを目標とする。 本年度は、宇宙定数からのずれをダークエネルギーの状態方程式でパラメトライズする際の一般的な表式を基本理論に立ち返って導出することに成功し、その表式はこれまで観測データの解析で用いられてきたものとは異なることを明らかにした。観測から宇宙定数からのずれを見出すにはこれまでのパラメトリゼーションではダークエネルギーのダイナミクスを正しく取り入れていないことになり、その観測的・理論的意義は重大である。超新星の観測データの解析をおこない、宇宙定数は現在の観測結果と矛盾しないことが明らかになった。さらに、新しいパラメトリゼーションはより広いダークエネルギーモデルについても適用できることを示した。
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