2009 Fiscal Year Annual Research Report
ゲージ/重力対応の直接検証及びそれに基づく時空構造の研究
Project/Area Number |
20540286
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
西村 淳 High Energy Accelerator Research Organization, 素粒子原子核研究所, 准教授 (90273218)
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Keywords | 超弦理論 / 行列模型 / ゲージ理論 / 超対称性 / ブラックホール |
Research Abstract |
我々は、「ゲージ/重力対応」の典型的な例として、有限温度における超対称量子力学(1次元のゲージ理論)と10次元のブラックホールの間の双対性を研究した。特にゲージ理論の強結合領域における振る舞いが、古典的なブラックホールによって記述される事が予想されている。ゲージ理論側の計算は、大変難しいと考えられてきたが、我々は、最近開発した新しいシミュレーション法を応用することにより、これを進めている。平成21年度においては、次のような成果が得られた。 1ゲージ理論側で相関関数を計算することにより、重力側での計算結果が再現されることを数値的に示した。この結果は、Gubser-Klebanov-Polyakov-Wittenが提唱したゲージ/重力対応の基本的な関係式が正しいことを示す重要なものである。また、このゲージ理論は、Banksらの提唱するM理論の非摂動的定式化とみなすこともでき、相関関数の具体的な計算がなされた意義は大きい。 2ラージNリダクションの考え方を用いることにより、このような研究を4次元の超共形ゲージ理論に拡張する研究を進めた。前年度は弱結合領域において方法論の具体的なチェックを行ったが、21年度は強結合領域において、ウィルソンループや相関関数を計算し、重力側の予言と比較を行った。 3行列模型から4次元時空を考える際、余剰次元が非可換トーラスであるシナリオを検証することは極めて重要である。我々は非可換トーラスに非自明な境界条件を課した場合に、ゲージ理論のトポロジカルな性質を研究し、通常の可換なトーラスと著しく異なることを発見した。
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Research Products
(4 results)