2010 Fiscal Year Annual Research Report
ゲージ/重力対応の直接検証及びそれに基づく時空構造の研究
Project/Area Number |
20540286
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
西村 淳 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (90273218)
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Keywords | 超弦理論 / 行列模型 / ゲージ理論 / 超対称性 / ブラックホール |
Research Abstract |
我々は、超弦理論が予言する10次元の時空から、我々の住む4次元時空が力学的に生成する機構に関する研究を行った。特に、超弦理論の一つの定式化として提唱されている行列模型に対してガウス展開法を適用し、行列模型から現れる時空が有限の広がりを持っていること、又その時空の次元に依らず、一定の体積を持ち、潰れた方向が決まった広がりを持つことを明らかにした。このような結果を数値シミュレーションにより検証するためには、「符号問題」と呼ばれる技術的な困難を克服しなければならない。我々は、そのために有用な方法と考えられる「因子化法」と呼ばれる方法を確立し、簡単化した模型において、その有用性を確認した。この模型は、ガウス展開法の解析により、時空の力学的生成に必要な性質を持つことが知られていたが、我々はガウス展開法の結果を数値シミュレーションにより正しく再現することに成功した。 また、関連した研究として、超対称行列量子力学の数値シミュレーションを行い、超対称性が最大である場合と、そうでない場合の定性的な違いを、熱力学的な性質に基づき明らかにした。特に、エネルギーの温度依存性を計算した結果、最大の超対称性を持つ場合はベキ則に従うが、そうでない場合は指数則に従うことを明らかにした。これは、最大の超対称性を持つ場合に限り、零エネルギーの束縛状態が現れるためと解釈でき、ゲージ理論を量子重力の新しい定式化として考える上で、重要な結果である。
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Research Products
(5 results)