2009 Fiscal Year Annual Research Report
P型シリコンを用いた高耐放射線性マイクロストリップ検出器の開発
Project/Area Number |
20540291
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
原 和彦 University of Tsukuba, 大学院・数理物質科学研究科, 講師 (20218613)
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Keywords | p型シリコン検出器 / スーパーLHC / 放射線耐性 / 電極分離構造 / マイクロストリップ |
Research Abstract |
シリコン半導体技術を用いたマイクロストリップ型検出器は、荷電粒子の高精度な位置測定のために高エネルギー実験では不可欠の装置になっている。現在までに建設された検出器はN型バルクを用いたものであったが、LHC(大ハドロン衝突器)の増強計画であるsLHCのような高輝度実験では、放射線による全空乏化電圧の上昇のためにセンサーは作動できなくなる。我々は、システムの耐圧に達した場合は、部分空乏化の状態でも作動させることができるP型バルクを用いたセンサーを開発している。 市場々調達できるP型ウェハーを用いて電極間信号分離P-STOPの構造や濃度、P-SPRAYの濃度を変え試験センサーを試作し、陽子線や中性子線を約1×10^<15>1-MeV中性子相当/cm^2まで照射することで、センサー性能の評価を行った。 試験センサー(1cm^2)の照射による暗電流の増加はN型センサーの上昇と同じ程度であることが分かり、また耐圧性能は向上する傾向となることが分かった。収集電荷量はβ線を用いて評価し、10^<15>/cm^2照射後の未照射とめ比は500Vのバイアス電圧で、陽子照射では約0.5、中性子照射では0.4となった。これらの結果から、sLHCでも使用できる性能の検出器が試作できたと判断できる。全空乏化電圧は、中性子照射による変化がやや多く、また、電極間分離など表面損傷に関しては、絶縁膜に蓄積される電荷量が支配的であるため、中性子による損傷は陽子よりも軽減されることが分かった。 残された研究項目として、パンチスルー機構達成のメカニズムの理解がある。特に、陽子、中性子照射による損傷の違いの評価、およびγ線を用いて、実際に近い低放射線量の状態での電極間分離を含めた表面状態の評価を行う必要がある。
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Research Products
(8 results)