2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540292
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森脇 成典 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 助教 (60262044)
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Keywords | 応用光学 / 計測工学 / 相対論・重力実験 |
Research Abstract |
本研究は、レーザー干渉計型重力波検出器の入射光学系での使用を想定し、干渉計からの戻り光を分離除去する新しい方式を提案して原理検証を行うものである。この実験には光共振器とふたつの位相変調器を用いる。位相変調器の間の距離を変調周波数に対応する電磁波の波長の1/4に選び、両変調器の変調位相を1/4周期ずらすことで、逆行光のみに位相変調をかけ、光共振器で除去するという方策をとる。その際、それぞれの変調器で変調指数1.2の位相変調を生じさせる必要がある。平成20年度に位相変調器を構成するためのニオブ酸リチウム結晶を調達し、ガラス強化型PEEK材を切削加工して結晶のマウント台を作製し、性能確認をおこなった。また、平成21年度には、結晶マウントの第二系統を作成し、原理検証実験の光学系に組み込み、順行光・逆行光の透過率対称性の破れが観測できた。第一系統の結晶で変調指数が不十分であったため、完全な光アイソレーションは実現できていないが、逆行光除去効果として光強度比での除去率0.68を得た。 本年度は、まず変調結晶への印加電圧の不十分を補うための電気系の改良をおこなった。この作業の過程で、第一系統の結晶マウント台上で電極を固定するポリカーボネート製絶縁ねじが破損したため、結晶マウント台の第三系統を製作した。また、印加電圧昇圧部から発生する電磁波が光検出器の出力に不要な干渉を発生させることが問題となっていたが、この効果を低減するために、電圧印加用の高周波増幅器の構成を変更し再作成した。光アイソレーションの実現にはまだ至っておらず、光学系の構築は継続中であるが、レーザー干渉計型重力波検出器の実機で問題となっている電気系統の雑音干渉を低減し、変調の長期安定性を保つための手法について新しい知見が得られた。
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Research Products
(2 results)