2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540293
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
堀田 智明 大阪大学, 核物理研究センター, 助教 (30332745)
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Keywords | 中性子検出器 / ハイペロン光生成 / ハドロン光生成 |
Research Abstract |
SPring-8レーザー電子光実験施設において、高エネルギーガンマ線によるハドロン生成反応に伴って生成される中性子を検出するため、既存の荷電粒子測定装置に新たに中性子検出器システムを設置した。既存の荷電粒子測定装置は、前方に放出される荷電粒子の運動量を測定するための磁気スペクトロメーターと、飛行時間測定装置で構成されている。本課題研究により、飛行時間測定装置の下流側に高さ170cm×幅160cmの領域を覆う、厚さ10cmのプラスチックシンチレーターから成る壁状の中性子検出器系を構築した。この検出器系により、標的から約25度よりも前方に放出される中性子をおよそ10%の検出効率で測定できると期待される。本年度は本中性子検出器を稼働させ、重水素標的からのハドロン生成反応の実験を実施した。レーザー電子光施設の増強計画の進行状況およびレーザー電子光実験全体の実施スケジュールとの関係から実験を実施後、十分に解析が進むところまでは至らなかった。今後の解析により本検出器系の性能として、検出効率、位置分解能、運動量分解能を評価する予定である。さらに本検出器系の構築に合わせて採択された共同利用課題である「Λ-核子相互作用の測定」に関する結果を出せると期待される。本課題研究である負電荷ハイペロン励起状態からの輻射過程という稀な崩壊過程の研究に対しては、レーザー電子光強度の増強後の測定方法の指針となる情報を得る予定である。本課題研究で中性子検出器系を構築した事により、重水素中の中性子からのファイ中間子光生成反応や、ペンタクォークのシータ粒子からの崩壊中性子の検出等、これまで測定できなかった様々な反応の研究の展開も期待される。
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Research Products
(1 results)