2010 Fiscal Year Annual Research Report
ニュートリノ振動研究のための磁場印加型エマルション検出器の研究
Project/Area Number |
20540296
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Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
渋谷 寛 東邦大学, 理学部, 教授 (40170922)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三角 尚治 日本大学, 生産工学部, 准教授 (80408947)
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Keywords | ニュートリノ / ニュートリノ振動 / エマルション / ECC / 磁場 |
Research Abstract |
ニュートリノ振動をタウニュートリノ(ν_τ)出現により確認するOPERA実験は3年目の本格的なデータ収集を行った。2008年の約1700個、2009年の約3700個に加えて2010年の照射では約4250個のニュートリノ反応の候補を標的内に蓄積することができた。本研究の分担者や研究協力者もグランサッソ研究所に滞在してブリック取り出し、現像、輸送の仕事を担当し、大きな貢献を行った。日本では乾板中にニュートリノ反応を確認して精密測定し、短寿命崩壊を探索する。2010年、最初のν_τ反応候補の検出に成功した。 このタウ崩壊の主なバックグラウンドの一つはハドロン粒子が鉛原子核と衝突して出来るキンク(飛跡の折れ曲がり)である。今年度、我々はこのハドロン衝突の精密な研究を始めた。KEK PSの4GeV/cハドロン(π中間子)ビームに照射したECCブリックを用い、約2400本のビーム粒子を合計48m追跡し、255個の鉛との衝突を観測した。その結果、平均自由行程と1本の2次粒子放出(キンク)の割合を求めることができた。今後、これらの2次粒子の角度分布、運動量分布も測定し、タウ崩壊のバックグラウンドとなる割合を見積もる予定である。 また、磁場印加型エマルション検出器の研究では、ビーム照射時にフィルムのスリップが起こり、固定が不十分という問題が昨年度見つかった。対策を探るため、宇宙線照射実験を行った。まず検出器製作時に圧力センサを挿入し、何種類かの圧力でフィルムとスペーサーを固定した。7日間宇宙線を照射した後、衝撃を加えてからさらに7日間宇宙線を照射した。これらの宇宙線を測定すれば、スリップの有無を確認できる。この方法を繰り返し、スリップが起こらない適切な圧力を見出すことが出来た。
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Research Products
(4 results)