2008 Fiscal Year Annual Research Report
衝突ビーム型加速器を用いた素粒子実験のデータ公開方法の研究
Project/Area Number |
20540302
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
上原 貞治 High Energy Accelerator Research Organization, 素粒子原子核研究所, 講師 (70176626)
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Keywords | 粒子加速器 / 衝突型加速器 / 素粒子検出器 / データ公開 / データ解析 |
Research Abstract |
衝突型加速器と汎用型測定器を用いた素粒子実験では、様々な物理課題に対応できるデータの収集がなされているが、解析手法が複雑であるなどの理由から、これまでは実施実験グループのメンバーによって一定期間解析が行われるほかは、グループ外の研究者にデータが提供されることも将来のためにデータが使える形で保管されることもほとんどなかった。本課題では、その解析における技術的困難を克服する方法について研究している。今年度は公開する必要のあるデータ要素、または、それに適したデータの内容や構造について研究を行ったが、明らかになったことと本研究の発展の方向を示していることは以下のようなことである。 「検出器応答の較正」については、できうる限り較正済みのデータを提供することによって克服可能である。すでにデータ公開が行われている天文分野ではそのような手法が取られている。しかし、最大の困難は、解析をする研究者が自分で疑似事象(モンテカルロイベント)を発生しないとならないことである。これを画期的に克服する方法は見いだされていない。素粒子実験は、この点において天文関係の測定と様相を異にしている。実験データそのものは、基本的に粒子の4元運動量データをRootファイル形式などによって提供するのが適した方法だといえる。 さらに、Belle実験におけるデータ処理プロセスをフォローし、それをデータ公開の手法の研究に生かせることが明らかになった。現在、Rootデータファイルの作成や処理の準備をしている。また、この1年間に、世界の別のところでも同様の研究が組織的に立ち上げられつつあることがわかった。
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