2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20540308
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
五十嵐 潤一 Ibaraki University, 理学部, 教授 (20127179)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 学 群馬大学, 工学研究科, 准教授 (50250816)
長尾 辰哉 群馬大学, 工学研究科, 准教授 (00237497)
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Keywords | 共鳴X線散乱 / 空間反転対称性の破れ / E1-E2干渉項 / E1-M1干渉項 / 電気磁気効果 / 内殻励起スペクトル / 第一原理計算 |
Research Abstract |
共鳴X線散乱に関連する分光学の理論的研究を行い、以下の成果を得た。 1.強誘電性でフェリ磁性体であるGaFeO3においては、空間反転対称性と時間反転対称性が同時に破れているため、光吸収スペクトルの可視光領域で特異な外部磁場依存性があらわれる。FeO6クラスター模型を用い、Fe-3d状態が4p状態と混成することに注意をはらい、ミクロな立場からの計算を行った。実験スペクトルをよく再現するとともに、電気双極子(E1)-磁気双極子(M1)干渉項から特異なふるまいが生じる機構を明らかにした。 2.GaFeO3のFe-K吸収端のpre-edge領域において、X線吸収スペクトルは非相反方向二色性や特異な磁場依存性をしめす。FeO6クラスター模型を用いたミクロな立場からの計算を行った。実験スペクトルをよく再現するとともに、電気双極子(E1)-電気四重極子(E2)干渉項から特異なふるまいが生じる機構を明らかにした。 3.X線光電子分光(XPS)スペクトルの第一原理計算プログラムの開発をすすめ、強磁性Fe、CoおよびNi3s内殻XPSスペクトルの解析を行い、実験結果をよく説明するとともに、非磁性金属のV及ひRuについても計算を行い比較を行い、スペクトル構造の機構を解明した。この方法の特徴は、光電子の生成により内殻正孔ができたときのポテンシャルのもとで、1電子波動関数をバンド計算により求め、その結果をもとに電子分布を変えることで励起状態を構成し、内殻正孔のない1電子波動関数との重なり積分を計算することにより、XPSスペクトルを求める点にある。内殻正孔1個を含むスーパーセルを用いたAPW法によりバンド計算を行い、波動関数を求める。この成功により、多くの内殻XPSスペクトルの第一原理計算への道が開けたと考えられる。
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