2009 Fiscal Year Annual Research Report
オージェ・損失電子同時計数分光によるフェルミ準位上下電子状態のサイト敏感測定
Project/Area Number |
20540309
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
奥沢 誠 Gunma University, 教育学部, 教授 (50112537)
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Keywords | 物性実験 / 表面・界面物性 / 強相関電子系 / 電子分光 / コインシデンス分光 |
Research Abstract |
電子・電子同時計数法は従来,電子励起状態間の遷移過程を探査する目的に専ら用いられてきた。本研究の意義は,この視点とは異なった発想に基づき,新たにオージェ電子・エネルギー損失電子同時計数法を開発し,固体表面付近の任意の原子サイト近傍のpartialな,Fermi準位上下の電子状態の知見を同時に且つ選択的に得ることにある。開発を試みている実験方法を立るためには,電子源を含めた3方向からの焦点を試料上の1点にサブミリ単位で絞り込むことが必須である。このためた最適な分析器は現時点で,2個の電子エネルギー分析器が同一焦点をもつ一体型の同軸対称鏡型電子エネルギー分析器であり,この分析器の稼働が本研究の前提となる。 前年度は申請時からの大幅な設計の変更に伴いオージェ・エネルギー損失電子同時計数分光装置の組立・調整に終始した。本年度はこれに続き2個の電子エネルギー分析器それぞれ単体の調整等を行い、単体での電子スペクトル測定を行える所までこぎ着けたが,同時計数測定には至っていない。具体的内容は以下の通りである。 1真空槽と真空ポンプ等の真空系は現有設備で賄ったが,若干の補修を行わざるをえず,これに補助金の一部を充当した。 2現有の電子検出器MCPの性能が劣化したため,今年度予算の半額弱でMCPアセンブリーを購入し,検出感度を向上させた。 3電子線源である電子銃の調整と,電子銃と分析器との配置の調整を行った。 4同時計数回路、制御用コンピューターは従前通り現有設備で賄っている。
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