2009 Fiscal Year Annual Research Report
界面構造に起因した新しいショットキーバリア理論の展開
Project/Area Number |
20540310
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
中山 隆史 Chiba University, 大学院・理学研究科, 教授 (70189075)
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Keywords | 界面構造 / 界面偏析 / ショットキーバリア / InN界面 / 電荷中性準位 / オリゴアセン / 拡散 / 析出 |
Research Abstract |
本研究の目的は、第1原理計算を用いて、金属/非金属界面の安定形態(混晶・偏析界面等)を分類し、各界面構造とショットキーバリアの関係を明らかにすることで、界面構造に起因したショットキーバリアの新しい一般モデル理論を構築することである。本年度に得られた知見は以下である。 1.金属/InN界面における異常ショットキーバリアの起源解明:第一原理計算により金属(Al,Au)/InN界面のショットキーバリアを調べ、InNの電荷中性準位は伝導帯内にあるために界面では金属からInNへ電子が流れ込みバリアの異常が起こること、その原因はInの原子半径が大きくInNの伝導帯幅が非常に大きい点にあること、界面がIn、N極性のいずれでも同じ異常が起こるが無極性界面にすると異常が弱まること、面欠陥である界面だけでなくN空孔点欠陥や転位などの線欠陥近傍でも同様の異常が発生することを明らかにした。これら結果は、従来の理論では説明できなかった金属/InN界面でのバリア異常を初めて解明したものである。 2.金属/有機分子固体界面の安定性の検討:界面から侵入した金属原子のオリゴアセン系分子内での拡散の断熱ポテンシャルを調べ、電気陰性度の大きいAuは炭素2重結合に沿って容易に拡散できること、陰性度の小さいAlは炭素環中心に安定化してしまい拡散しにくいこと、この違いは有機分子と金属原子間の電子移動差に基づく結合形態の相違のあることを解明した。これら結果は、有機半導体界面の安定性に関する初めての知見である。 3.金属/Si・偏析界面のショットキーバリアの解明:18種類の界面偏析原子の安定性とバリア変調量を調べ、B,P,As等のSiのドーパントは界面に析出しやすいこと、界面原子種がII族からVII族に変化するとショットキーバリアは単調に変化すること、その原因はSiの不対ボンドの終端に伴う電荷中性準位の変化にあることを明らかにした。この結果により、界面析出層のモデル化には半導体の終端効果が重要であることがわかり、次年度に一般化ショットキーバリア理論を構築する大きな足がかりが得られた。
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[Journal Article]2010
Author(s)
K.Shiraishi
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Journal Title
"Role of computational science in Si nanotechnologies and devices" in "The Oxford Handbook of nanoscience and Technology"(Oxford University Press)
Pages: 1-46
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